2013年5月30日木曜日

色空間について

カラーマネジメントでは、環境の色空間と色温度を正しく設定することが基本となることは先のエントリーに記載した通り。

ここでは色空間についてもう少し書いておく。


先のエントリーで、色空間とは色を表す座標系だということを書いた。

この、色を表す座標系で一番普及しているのはRGBだが、一般用途でもRGB以外の多数の色空間が使用されている。

例えば絵を書く人には馴染み深い明度、彩度、色相からなるHSV色空間、ビデオやJPEGで用いられるYUV色空間、印刷業界で用いられるCMYK色空間などがある。

それぞれの色空間は用途に特化した座標系となっており、たとえばHSV系は人が色を選択しやすいように設計されているし、YUV系は色を間引いて圧縮しやすいように設計されている。


色空間は相互に変換可能ではあるものの、1対1での変換は出来ないため、変換を行うと元の色の近似値となる。

RGBのデータを印刷用にCMYKに変換する際などに色ズレを起こすことなどがよく問題となる。

色空間の変換を行わなければならない時は、極力ソースの色空間のまま作業を行い、最後の段階で変換を行わないと情報の劣化を引き起こす。


色空間の変換を意識して行う機会はあまり無いが、よく行われている変換として、JPEG画像を取り扱う際には表示と保存の際にそれぞれ変換がかかり、画像劣化の原因となっている。

意図しない変換が繰り返し行われると、画像の色が徐々に抜けていくことになり、艶やかさが失われる結果となる。

ただし、レタッチソフトの類の保存では画像に対する演算手順を保存していて、色空間の変換は最後の出力時にのみ行うため、実用上はそれほど問題視する必要はない。


いずれの色空間においても、数学的には多次元空間のモデルとして定義され、各次元のパラメーター(チャネル)によって特定の色を指すことができる。

ただし、各パラメーターが意味的に同じものを表す場合においても、厳密に何を表すのかによりそれぞれの色空間は異なるため、統一されたモデルは理論的なものでしか無い。
(意味合い的に同じものを指す際の論理モデルを表色系という)

たとえばRGBのBが表す「青」といった時に、何を「青」とするのかにおいて国際的な定義はあるものの、純色としての青の定義は人やデバイスによりことなり得る。


もし基準が異なった場合、その色空間は異なった青を基準とした別の色空間となり各パラメーターを同一にしても同じ色を指さないことになる。

そうすると、一つの画像を基準の異なるディスプレイで表示した時には見えているものが違うことになる。

カラーキャリブレーションは、このズレを是正するために行われる。


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