2013年7月6日土曜日

DualPixelCMOSAFについて

さって。

気になって気になって仕方なかったので勉強して、原理もわかりましたので同じく気になっている人向けに技術の推測記事。
よくわかってない人の勝手な推測だと思って、面白がって読んでやってください。


以前Canonが取得している特許などの情報も含めると、やはりピクセルを分割して1つのピクセルを2つの素子として使用しているように思えます。
提出済みの特許、および今までの像面位相差と違うのは、たぶん製造上の理由から全画素を左右2つに分割して、左右それぞれの映像を利用しているだろうこと。


マイクロレンズに入ってくる光がそれぞれ右側から入ったものが右側に、左側から入ったものが左側に来ることを利用し、左側からくる映像、右側からくる映像のそれぞれを生成し、演算によってAFを行うようです。
また、同時に演算によって右側の絵、左側の絵を合わせた画像を通常の画像として生成し、それを出力として使用しているようです。

そもそも今までの像面位相差は、AF用の画素をAF用の画素として利用して、AFに用いるだけの簡易な像を右と左別々に生成し、それを用いてAFを行っていました。
これを、AF用の画素だけでなく、全画素を用いて行っている、ということになりますね。

なぜ画像の周辺の画素が使えないかというと、画面の端の画素になればなるほど、片側からしか光が入らなくなるため、AFに用いる像としては暗くなりすぎるためだと思われます。



この予想に至る最後の決め手は提出していた特許だったわけですが、特許見た時には、結局こんな方法だったんだとおもって、がっくりきてしまいました。
自分が考えるに、これをやったら正直画像がきれいになるとは思えないからです。


結局デュアルチャネルにした段階で読み取り精度の問題が付きまといますし、全画素分割することで軽減しているとはいえ、左右のピクセルに分割する製造上の精度の問題も絡みます。
また、値を伝送するチャネルを増やしているためそれぞれの伝送回路の制度やAD変換の精度も絡みます。

フォトダイオードのセルを分けているわけではないというのであれば、セルを分割するのに用いられているであろう遮断壁(壁は無いとの発言がありますが、それだと値が読めないため【壁】ではないものの【壁に相当するもの】は絶対あります)が薄いことで、隣接する画素に対してノイズを与えないのかという問題があり、それをクリアしていない限りはセルを分けていないこと自体が精度的に問題になるわけです。


それに、AF制度としてもどうしても避けられない問題が出てきます。
まず画素を2つに分割するところまでしかいかないので、クロス計測できません。
クロス計測、もしくはさらにAF制度を上げていくためには画素を4分割して縦横に割っていく必要があります。
だったら画素を4倍にして、一つのマイクロレンズで4つをカバーするようにすればよい話になってしまいます。
画素を上げるとすぐにノイズ上昇につなげるきらいがありますが、結局この方法では2つの画素を使用して、その演算で一つの画素の値を出しているにすぎず、やっていることは画素を2倍にしたことにほかなりません。

そして、全画素を像として結びそこから演算を行うことで、速度的な問題が発生します。
もちろん精度は上がるわけですが、その制度を出すためにはAD変換含めかなりの量の演算を行わなければならず、20Mpixelという量を計算しようとすればどうしても動きものに対して像面AFのみで対応できず、通常の位相差とのミックスが必要になると思われます。
それを嫌って取得した像の一部のみをAFに使うのであれば、結局他社と同じように一部のセルのみをAFに使ったほうがノイズに対しての強度を保てることになってしまいます。


もちろん、自分の推測が外れている可能性はありますが、半導体の仕組みなどを考えると、あんまり外れているとは思えません。

興味深い、面白い方法だ、という意見が多くを占めていますが、ちょっと視点をずらせばあまりほめられた方法とでもないと思います。

そういう技術を大々的に発表して、さも画像に影響が出ないように言ってしまうところが「マーケティングのキャノン」らしくもありますが、技術屋さんの端くれとしては結構残念です。


本当にそうなのかどうかは、わかんないですけどね。

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