2013年6月5日水曜日

ノイズとISOの関係

ISOを上げるとノイズが増える。

これは、デジタル一眼で写真を取っている人なら誰誌もが知っていると思う。

じゃあ、ノイズが出る理由はと言えば、案外知っている人は少ない気がする。


ISOを上げるとノイズが出る理由は、主にデジタルに変換される前の信号強度にばらつきがあるため。

信号にばらつきがある状態でISOを上げる事によるデータのシフトを行うため、小さなばらつきがシフトされた分拡大して、目に見える大きなばらつきとなる。

この大きなばらつきが画像上に現れたものが、ノイズということ。


通常ノイズと言えばアナログのものなので「デジカメ」には関係なさそうなものだが、実際にはそうはいかない。

光を受けるイメージセンサーはアナログデバイスである。

イメージセンサーから取得したアナログの画像データにアナログ/デジタル変換を行うことで、やっとデジタルデータとなる。

デジタルデータに変換したあとはノイズの元となるゆらぎは発生しないので、ノイズが出る出ないは、この返還前の処理にかかっている。

ここまでがノイズ発生の原理の基本。



実際にノイズがどれだけ発生するかには、以下のことが関わっている。

・光子のばらつき
・受光素子の半導体特性
・信号伝送経路のノイズ耐性
・A/D変換の精度


まず、受光素子に向かう光子の量にばらつきが出るが、これは主にレンズによる。

もちろんアナログ的な密度としてのばらつきもあるけれど、ある意味それは被写体の特性であり、目に見えるノイズの元としてはそれよりもレンズ精度が影響する。

この項は如何にレンズの精度を上げるかという話で、ISOというカメラ本体のお話にはあまり関係がないのでこれ以上は書かない。


次に、半導体特性。

基本半導体はアナログデバイスであるため、どうしても画面上の箇所によってばらつきが出る。

これは、受光素子中の不純物の混入量により、入った光を電気信号に変換する際の効率が変わってしまうため。

そうすると、同じ光子量を受けても出力される信号に開きが出てくる。

この信号の開きをシフトして増幅するとノイズとして現れることになる。


半導体特性によるノイズの発生が問題なくても、今度はその信号をA/D変換に送るまでの伝送経路がやってくる。

受光素子から出た信号は、A/D変換機までに電荷を持つコンデンサの林の中を抜けていく必要がある。

また、センサー自体が光にさらされているため、半導体中にある信号は伝送経路上に注ぐ光の影響を受けやすい。

そもそもイメージセンサー自体が光によって出力が変わるという半導体の特性を利用しているわけで、この影響は多分に大きい。


ここまで影響なく来れたとしても、最後にA/D変換がある。

A/D変換では、下限レベルの設定と信号の数値化が行われ、それぞれにおいて高い精度が求められる。

受光素子からここに来るまでの間、14bitや16bitの分解能で値を分解するだけの精度を保っていたとしても、A/D変換の精度が悪ければ台無しになってしまう。

にもかかわらず、何基かのA/D変換基で何千万という画素のA/D変換を瞬時に行わなければならない。

絵にA/D変換基ごとの個体差を影響を出さないためにもむやみに数を増やすわけにもいかず、精度を出しにくい。



ISOを上げた時にノイズが出ないようにするためには、どれだけ小さなノイズを発生させないかにかかっているが、そのためには、こうやって各段階でそれぞれに難しい問題をクリアしなければならない。

素人目にみてもノイズを発生させないことが如何に難しいのかは、想像にかたくない。

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